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肥満遺伝子
近年の研究で、肥満に関係する遺伝子は50種類以上あることが明らかにされている。
このような肥満に関係する遺伝子は一般に「肥満遺伝子」と呼ばれているが、肥満遺伝子の異常などで肥満しやすい体質、肥満しにくい体質があることが分かってきた。
このページでは、肥満遺伝子の検査方法と、現在分かっている主な肥満遺伝子について説明する。
肥満遺伝子の異常を検査する方法は非常に簡単である。
綿棒などで、口の中の粘膜の細胞をこすり取り、それをPCRという装置で分析するだけである。
被験者は苦痛を受けたり、時間を取られることなく、肥満遺伝子の検査が可能である。
直接肥満と関係なさそうな口の中の粘膜から、どうして肥満遺伝子の異常が検査できるのか?
その理由は、人間の細胞はどれも全く同じ遺伝子情報を持っているからで、口の粘膜細胞も、肥満に関係する臓器の細胞も、同じ遺伝子情報をもっているからである。
なお、一般の人でも一部の肥満遺伝子を簡単に検査できるサービスがあり、インターネット上で申し込みをすることができる。
運動の時など、人間が活発に活動するとき、交感神経が活性化する。そのとき、アドレナリンというホルモンが体内に分泌される。
ベータ3アドレナリン受容体は脂肪細胞などにある物質で、アドレナリンと結合すると、脂肪細胞に貯蔵されていた中性脂肪を分解し、燃焼されやすい状態にする。
しかし、ベータ3アドレナリン受容体の遺伝子異常の人は、この受容体がうまく働かず、脂肪が分解されにくくなる。
これが、ベータ3アドレナリン受容体遺伝子が「肥満遺伝子」と呼ばれる理由である。
なお、この肥満遺伝子の異常は日本人に多く、およそ1/3の人がこの肥満遺伝子の異常を持っている。
この肥満遺伝子異常の人は、正常な人に比べて、基礎代謝が1日あたり約200kcal低いと言われている。
このカロリー量は、脂肪に換算して約22gで、単純計算すると1年で体脂肪約8kg分の差になる。
人間の首の後ろから背中にかけて「褐色脂肪組織」というものがある。この脂肪組織は通常の脂肪組織(白色脂肪組織)と違い、積極的に脂肪を燃焼し、体温を保つ役割を持っている。
褐色脂肪組織の中にあり、脂肪を燃焼させるのに重要な役割を持つのがこの「UCP1」。
しかし、UCP1遺伝子異常の人は、UCP1の働きが悪くなり、褐色脂肪組織での脂肪燃焼機能が低下する。
これが、UCP1遺伝子が「肥満遺伝子」と呼ばれる理由である。
なお、この肥満遺伝子の異常は、約1/4の日本人にあると言われている。
この肥満遺伝子異常の人は、正常な人に比べて、基礎代謝が1日あたり約100kcal低下する。
このカロリー量は脂肪約11gに相当し、単純計算すると1年で体脂肪約4kg分になる。
ベータ2アドレナリン受容体はベータ3アドレナリン受容体と同じく、アドレナリンというホルモンと結合し、脂肪の分解を促進するもの。
ただし、こちらの遺伝子は、遺伝子異常のある人が肥満しにくい。
この肥満遺伝子の異常のある人は正常な人に比べて基礎代謝が約300kcal高くなる。
300kcalのカロリーを脂肪に換算すると約33gに相当し、単純計算すると1年で体脂肪約12kg分になる。
ただし、この遺伝子に異常がある人は、タンパク質を食べても上手に利用できず、太りにくい代わりに筋肉もつきにくいと言われている。
この肥満遺伝子異常の人は、日本人の約1/6を占めるとされている。
レプチンとは、脂肪細胞から分泌されるホルモンである。
レプチンは、脳の視床下部というところで、満腹中枢を刺激するホルモンである。
つまり、レプチンがたくさん分泌されると、満腹感を感じ、食欲が抑えられるということになる。
このレプチン遺伝子に異常や欠損があると、脂肪細胞からレプチンが分泌されなくなる。
その結果、食欲が抑えられず、食べ過ぎて肥満という結果になる。
しかし、レプチン遺伝子の欠損はほとんど前例がない。
レプチンレセプター(レプチン受容体)は主に脳の視床下部に存在する物質で、レプチンと結合することで満腹中枢を刺激する。
レプチンレセプター遺伝子に異常や欠損があると、視床下部にレプチンレセプターができなくなる。その結果、レプチンが分泌されても満腹中枢が刺激されない。
つまり、この肥満遺伝子に異常や欠損があると、満腹感を感じにくくなるため、過食のために肥満となる可能性が高い。